ハゲるか否か
僕はハゲる。将来必ず。家系がそれを証明している。父は無論のことハゲている。爺(じいじ)二人も立派な額の持ち主だ。これはもう運命だ。中学生の頃、自分の容姿にこだわり出す時代、既に僕はこのことを悟っていた。
「あだめだこれハゲるわ」と。親でダブ東三枚ハナから持ってたようなもん。いや、左右向かい全員リーチかけてて手配に安パイが一枚もない、むしろそんな状況に近いのかもしれない。いつ放銃してしまうか分からない。いつ当たりが来てもおかしくない。そんな日々を必死に頭をひねって海底までオリ続けなければならない。そんな過酷な運命を中学生は知ってしまったのだった。無残。
ハゲへの抵抗
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しかし。分かっていてもなお。挑まなければならない戦いがあると思う。「諦めたらそこで試合終了だよ」の言葉の元に、必死の抵抗を演じている。悪あがきは悪い事じゃない。みっともないことではない。
いつか来るその日の最後まで戦い続けて、敗北が決まったら笑って散りたい。男なら誰でもそう思うものだと思う。だから僕は今日もトニックシャンプーを泡立てて、スカルプケアのリンスを塗りたくって、育毛スプレーで頭皮をよくマッサージする。漢の鑑なのである。
ハゲを恥じること
ハゲを恥じること。一番みっともないのはその心だと思う。ハゲが恥ずかしいのではなくて、恥じてる己がカッコ悪い。わずかに残った髪をかき集め、よそから買った毛髪を乗せて、そういう態度を人は笑うんだと思う。堂々としたハゲをからかったところで誰が面白いだろうか。誰でも自分の容姿への不満はある。人を笑うやつは回り回っていつか人に笑われる。
代表選手。
ハゲてもかっこいい人
それよりも、ハゲてもかっこいい人に憧れを抱く。ハゲてもかっこいい人は無敵だと思う。弱点があっても克服できる人。弱点ですら強みに変えられる人。弱さを隠そうとして震える人の何倍も、あっけらかんと強い。僕にとっては渡辺謙がその代表選手。
生き様よ、生き様
やっぱり生き様を感じるよね。やつらには。彼らが晒しているのはハゲじゃなくて、生き様って感じがするよ。生き様を持っていたらハゲようが何言われようがカッコいいんだと思うんだよ。
そんな男に憧れて今日も僕は頭皮をもんでいる。