【お題】卒業 【ドーン】
今週のトピックがちらちら卒業についてエントリーを作成しろとちらつかせているんだけど、桜が早々に満開になってしまった。もう卒業って気分じゃないんだよなァ。桜って言ったら入学式入社式。心は一気に入学シーズン。やっぱアウトプットってさ、過去に向けて放つもんじゃないと思うワケ。未来のことを語るためにあると思うワケ。アンダスタン?
入学直前、ランドセルお清め 県護国神社:福井:中日新聞(CHUNICHI Web)
小学校の入学式で
とまあ今から入学式の思い出について語ろうとしてるんだけどね。もう思い出しか語る事なんかないワケよ。小学校の入学式。よく覚えてる。私地域の保育園や幼稚園に行ってなかったの。送迎バスでちょっと都会の幼稚園に通うようなブルジョワジーだったの。だから周りはもう知ってる同士なのに、私だけ周りに知ってる人がいない。そんな孤独を感じながら整然と並べられた椅子にちょこんと座っていた。
隣の席の誰だか知らない子が「トイレ行ってくるからこの席取っておいて」と告げて席を立ったのね。「いいよ」と。なんだかとても小学生らしい会話をした。知り合いのいない私には使命感のあるミッションだった。なにせ初めて口を利いた小学校の同級生。楽しいキャンパスライフの幕開けだ!ってなもんで、誰もその席に座らないようにじっとして守っていた。そしたらいたのだ。隣の席に座ろうとする輩が。「ここは駄目だよ」熱い正義感で一言忠告を促す勇敢な小学生、私。すると輩は一言。「いや、俺だよ」。
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ランドセルは祖父母より
ランドセルはよくある話だけどじいちゃんばあちゃんが買ってくれた。ランドセルってなんであんなに魅力的なんだろう。今の子も同じだろうか。「いよいよ俺も小学生に上がったか」とまるで管理職に昇進したかのような誇らしげな気分だった。二日くらいランドセルを背負ったまま過ごしてた。
母親は「ランドセル買ってもらっちゃって悪いから」ってお返しをどうしようかと言い始めた。ばあちゃんは「そんなのいいのよ」と言っていたけど、母はしつこく「それじゃあ悪いじゃない」と食い下がる。段々妙な熱がヒートアップしてきて、幸福な入学式を目前に母とばあちゃんは大ゲンカ。事情は分からないけれど、確実に自分が関係しているケンカだと直感する私。結局半ば強引に母が内祝いを用意する形で終焉した。内祝いを奇妙な習慣だとインプットしてしまった忘れがたい事件だった。
一気に大学の話
大学進学で上京したんだけど、クラスメイトの女子が同じ大学に決まっていた。お互い全く口を利いたこともなかったんだけど、そういうのって妙に親近感が湧いたりするもんで、履修はどうするだとかアパートはどの辺にするだとか情報交換しておこうと策を巡らせたりしてた。
でもその子は入院することになった。白血病だった。入学式ももちろん出られず、半年休学して、病気がよくなったら通学しましょうという予定になった。だけど病気はよくならず、結局大学へは一度も通うことがないまま亡くなったらしい。私はほとんど口も利いたこともないその子の連絡先を知人から渡され、彼女の母親とたまに連絡を取っていた。
大学の入学式の日は正門とソメイヨシノをバックに携帯で写メを送ってやった。初めて着たスーツで慌てて撮った自分の姿はちょっと間抜けだった。だけどせめて入学式の臨場感だけでも、と思って、ありがた迷惑のようなメールを送った。どんな返事が返ってきたか覚えていない。返事が返ってこなかったような気もする。
病院へ見舞いに行ってみたこともあったけど、面会謝絶で結局話すことはできなかった。同じ高校から同じ大学へ進むことになった同級生に、もっとするべきことがあったんじゃないかという気持ちだけが、今でも桜の思い出として残ってしまっている。